第5回 玉名地域連携の会に参加して、玉名地域保健医療センター 医療連携室 榎本さんの講演を拝聴しました。

退院支援を主な業務としながら、口腔ケアに取り組むようになった経緯、活動を通じての気付き、多職種とのかかわりで気を付けていることについてお話がありました。

病院に入院してくる患者さんの多くが、食事摂取に何らかの問題を持った要介護者であり、入院中の点滴治療が、更に制限をかけ、益々口腔機能が低下しているように感じた。ある機会に、同施設で勤務する歯科衛生士の口腔ケアの技術を見て、自分自身も口腔ケアを学び実践してみた。すると、次第に唾液の分泌が増え、舌の動きもよくなる、それに伴い覚醒もされコミュニケーションまで改善してくる患者さんがいた。

口腔ケアに力を入れていくと、自分だけが空回りをしている…かのように思う時期があった。そのような気持ちが、どこかダイエットと似ていると感じた。ダイエット成功の秘訣を調査すると、次の4つのポイントに突き当たった。①とにかく継続する②毎日体重計に乗る③完璧主義は失敗のもと④周囲に宣言をする。これらの法則を、口腔ケアあてはめてみた。①とにかく継続:どのようなケアなら続けられるか?を考えた。より良いケアはもちろん重要だが、継続には適わない。実践できる内容を、レベルアップしていく視点を持つこと。②毎日体重計に乗る:毎日評価を行う。変化を見逃さないことが重要であり、その都度対応して再度評価する習慣を持つこと。③完璧主義は失敗のもと:ダメ出しばかりせず、ある程度で自分を納得させる。理想を求めると、現状に満足感が得られず、継続するモチベーションを削がれてしまう。④周囲に宣言する:自分の活動を周囲に宣言する。やがて賛同が得られ、一緒に活動する仲間が現れる、そして協力者も増えてくる。一方で密かな取り組みは、自己満足の域を脱せず、成果が得られない時など挫折に陥りやすい。

多職種との関わりで気を付けていることは、専門職に甘えない。つまり「依頼」という名の「丸投げ」をしないようにしている。専門職と一緒に実践することで、お互いに学び、共有して喜び合える環境を醸成していきたい。

最後に、会場に対し「結果にコミットする口腔ケア」を高らかに宣言して講演を終えました。

その後2施設からの事例報告もあり、大変参考になりました。

2015040320040000.jpg今回講師の榎本さんと、連携室長野満さん。さすがは100人超の舞台で、ダイエットの失敗を公表するだけあり、食べることに積極的でした。口腔内の乾燥に効果的なのは…ビール!だそうです。