近隣の薬局や訪問看護ステーションと一緒に、在宅で用いる医療機器に関する研修を実施しました。
●輸液のトラブルとその対応 (株)大塚製薬工業
製品の外観による識別性の向上、外装にはUVカットや遮光、酸素などによる薬品の変性を防ぐガスバリア技術を施すなどメーカーの取り組みがあります。
重篤な感染症を防ぐため○できる限り混合を行わない○クリーンベンチを用いる○一体型の輸液ラインを用いる。インラインフィルターなど○三方活栓などを用いないなどの工夫が考えられます。
血管外漏出による皮膚障害には、カテーテル抜去後、漏出液貯留を改善するために患部の挙上を行います。患部が冷たい場合は早期吸収のため温罨法を行います。ただし、痛みと熱感を伴う場合は冷罨法の方が症状の軽減に有効です。
●輸液ポンプ適応と使用上の注意 ニプロ(株)
キャリカポンプは、在宅中心静脈栄養法や在宅成分栄養経管栄養法を安全に行うために使用する、小型で持ち運びができるポンプです。ポンプを使用することで、速度を安定させることができます。輸液の終了やトラブルの際もアラームが鳴るように設計されています。高浸透圧の成分栄養を用いた経管栄養では、下痢など副作用が起こりやすいですが、低流量にすることで緩和することが出来ます。
●「経口栄養困難時の栄養管理と薬剤投与」 霧島市立医師会医療センター薬剤部 岸本 真先生 (簡易懸濁法研究会広報部幹事)
栄養剤は、半消化態栄養剤と消化態栄養剤(成分栄養剤含む)に分けられます。200種類以上の製品がありますが、医薬品として認められているものは10種類ほどになります。消化管機能が正常であれば半消化態栄養剤を使用できますが、消化管機能が低下してくると、消化態栄養剤を選択することになります。
薬剤の投与に関しては、安易に粉砕されるケースもあるようですが、粉砕ではチューブの閉塞や投与量のロス、配合変化など注意が必要です。特殊な加工を施した剤形の場合も粉砕は不可となります。そもそも薬剤は体内で崩壊するように設計されています。簡易懸濁法とは、投与時に55℃のお湯に薬剤を入れることで崩壊させる方法です。粉砕と比べ、最後まで錠剤のままであるため取扱いがしやすく、用量調整も可能となります。チューブもより細い物を使用できます。しかし簡易懸濁法でも、徐放錠や腸溶錠など特殊な剤形設計をしている薬剤や、温度の影響をうけるもの、配合変化、光の安定性、炭酸水素ナトリウムを含む薬剤は注意が必要となります。また、塩や酸、塩基に影響を受けるも薬剤もあるため、食品や飲料に混ざらないように注が必要なものもあります。
●簡易懸濁実技 エルメッド・エーザイ(株)
すぐに溶解して服用しやすい、剤形工夫を行ったジェネリック医薬品もあります。簡易懸濁法の実技を通じて、製剤の特徴を理解する研修を行いました。湿性錠の溶解、マクロゴールを含有する薬剤の凝集、Lドパ製剤と酸化マグネシウムによる配合変化、センノサイド抽出物と食物繊維含む製剤の溶解、などを確認しました。