日本プライマリ・ケア連合学会秋季生涯教育セミナーより
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まで1年をきりました。アスリートが100%のパフォーマンスを発揮するためには、本人だけではなくサポートする側も大変な努力が必要です。このWSでは、ドーピング問題に焦点を当て、「世界アンチ・ドーピング規定について」「医療従事者が関わる国際基準とルール」に関して、事例を交えて学ぶことができました。
アンチ・ドーピング・プログラムの目標は、スポーツ特有の価値を保護することです。例えば、大きな感動を呼んだ試合があったとします。しかし、そのどちらか一方がドーピング違反をしていたとすれば、多くの人々が落胆することになるのではないでしょうか。
このようなことが起こらないよう、世界アンチ・ドーピング規定では、近年教育を重視するようになりました。その対象は本人のみならず、コーチやトレーナーなどのサポート側も対象となります。サポート側の不手際でドーピング違反になることもあるのです。
医療従事者にとって重要なことは、禁止表国際基準に基づき、アスリートをドーピング違反から守ることです。禁止表国際基準は少なくとも年1回改訂され、有効期間は翌年の1月1日から12月31日までであることを、医療従事者は把握しておく必要があります。
WSでは事例を交え、実際に禁止表国際基準を参考にドーピング違反になるのかならないのか、また他に治療方法はないのかなどを考える手法を体験しました。なお、禁止薬物の検索は、「禁止表国際基準」「Global DRO」「日本スポーツ協会HP~使用可能薬リスト~」などで確認できます。
国民体育大会(国体)は中学3年生から出場することができます。つまり、小学校・中学校などの若い世代からアンチ・ドーピング教育は必要です。学校薬剤師として従事していることもあり、積極的に啓蒙する必要があると感じました。また、病気と闘いながら、100%のパフォーマンスを出すための努力をしているアスリートもたくさんいます。東京2020大会に向け、各国のチームがキャンプ地として全国各地を訪れ、私たちと接点を持つ機会も想定されるため、そのための準備が必要と感じました。
私自身はスポーツファーマシストとして活動はしているものの、まだまだ知識不足な部分もありましたが、今回のWS参加で知識を補うことができました。アスリートの負担を少しでも減らすため、今後も学んでいく所存です。
https://www.primary-care.or.jp/gmeeting/semreport.html
坂井 博則 (有)つばめ薬局