開会にあたり、熊本県有明保健所より、熊本県における災害時の体制を解説していただきました。また、参加者にも各家庭等で備えをする重要性も合わせて案内していただきました。

講演①「近い将来、起こるかもしれない大災害への備え -公立玉名中央病院の取り組み- 」

公立玉名中央病院 安岡 寛理先生

DMATとは、災害派遣医療チーム Disaster Medical Assistance Team の頭文字をとっています。医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。避けられた災害死から、一人でも多くの命を助けようと、現場の医療だけでなく、災害時に多くの患者さんが運ばれる、被災地の病院機能を維持、拡充するために、病院の指揮下に入り病院の医療行為を支援させて頂く病院支援や、首都直下型、東海、東南海・南海地震など想定される大地震で多数の重症患者が発生した際に、平時の救急医療レベルを提供するため、被災地の外に搬送する、広域医療搬送など、機動性、専門性を生かした多岐にわたる医療的支援を行います。DMATになるには、定められた研修を受講し、その後も定期的に訓練を継続することが求められます。公立玉名中央病院では、DMATの部屋を設け、常時出動できるよう備品管理など充実を図っておりました。また、DMAT登録者を増やすよう取り組みを強化しているとのことでした。

講演②「災害医療の現状と薬剤師の役割について -東日本大震災での活動報告-」

(公社)熊本県薬剤師会 小林祐司先生

災害現場では緊急性が高い一方で、物資や情報が限られており、医療においても専門家の支援が欠かせない旨、事例を含めて説明してもらいました。ジェネリックの普及もあり、患者さんの話のみでは服用薬の特定は困難を極めます。その僅かな情報から、具体的な薬剤を絞り込み、現場にないものであれば類似品を選出するなど、視点の違いを理解していただけたと感じます。保管状況なども関わりが重要で、拠点での物流管理や情報の伝達なども担っているとのことでした。また、災害現場は衛生的にも問題があり、特に長期化する場合は消毒、嘔吐物処理、公衆衛生にも寄与することが欠かせない役割とのコメントもありました。小林先生の講演を通じ、普段の薬剤師職能やお薬手帳などの認識を改めて感じていただける機会になったと感じます。

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別会場では、薬剤師会有志による展示コーナーも催されました。

禁煙支援コーナーでは、肺年齢の測定も実施されました。来場した喫煙者も、肺に及ぼす影響など実感していただけたと思います。
危険ドラッグの啓発として、DVDの上映を行いました。ドラマ仕立ての映像に解説を合わせてあり、皆夢中になって鑑賞しておりました。
また、六角霊芝含有の“にが茶”コーナーも設置しました。煎れたてで提供したためか、名前のイメージと裏腹に、飲みにくさはありませんでした。
その他、薬剤師による災害時支援の写真展や、血圧測定お薬手帳の啓発展示も行いました。
来場者には、地元ゆるキャラの「タマにゃん」のエコバッグを配布しました。受診時に使用することをイメージして、保険証、お薬手帳、残薬を持ってきてもらえるようデザインしました。是非ご活用いただけたらと思います。